がん治療

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ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
がん治療において、その過程で失われる体力をどのように回復させるか、またどのように低下を防ぐのか。これらは大きな問題点であるにも関わらず、現在の治療ではなかなか考えられていないことです。
意外に、体力的なことをしっかりと補うことにより、免疫が下がらずにいられ、風邪をひきにくく元気でいる時間が長い、ということがあります。
体力を落とさないということを治療目標に取り入れるだけでも、得られることがあるのです。

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オーソモレキュラー療法
うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。
投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。
高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

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本日の勉強会にて
JUGEMテーマ:健康


今日は、すでに栄養療法を臨床へ取り入れているドクター向けの勉強会でした。
僕は講師ではなく一人の受講者でした。

講義の内容は、がんに対する栄養アプローチです。
講師の先生は、25年以上この治療を多くのがんの方々へ実践され、地道にデータを集積されています。またがんにおけるこの治療では、欠かすことのできない歴史上の人物・・ライナス・ポーリング博士から直接教えを得た貴重な日本人であり、ビタミンCの大量点滴療法を確立したリオルダン先生とは親友の関係でした。
分子整合医学の国際学会においても日本人では唯一の学会誌の編集委員を務めていらっしゃいます。

そんな先生が、既に栄養療法を取り入れている日本のドクターへがんの栄養療法について、どのような切り口で話をされるのか? とても興味をもっていました。

この分野では、もっぱら超高濃度ビタミンC療法が話題になっていますので、その治療法に関係する内容が多くなるのではないかと思っていました。出席された多くの先生方も同様の予想をされていた方がいらっしゃるのではなかったのでしょうか?

しかしその予想は見事にくつがえされました。
最も時間を割いたのは、血中アルブミンを維持することと貧血を改善することが、がん治療にとっていかに重要であることか・・・これらのポイントを、角度を変え何度も何度も強調されていました。

僕は、何回もがん治療におけるアルブミンの維持と貧血改善の重要性については、指導されていたので、超高濃度ビタミンCの点滴治療を希望されてきた患者さんでも、必ず食事指導とサプリメントを用いた栄養アプローチを併用してきています。
今日の話の内容は、そのアプローチの正当性を様々な基礎的な理論とこれまでの報告から再確認する素晴らしい内容でした。

ガンの患者さんへ栄養療法を行うときには、ある意味ではとても長期にわたります。
そのため、ビタミンCの点滴を含めた栄養療法の全体にかかる費用についても考慮しなくてはならないことが出てくるのです。

これまでの自分の治療の組み立ては以下のようなものでした。
・超高濃度ビタミンCの点滴治療は、プロトコルにある有効血中濃度が維持できるようにすること
・このためには、必ず経口でのビタミンCの摂取を併用しなくてはならないこと
・貧血と低アルブミンがある場合には、そのための栄養アプローチを組み立て実践してもらうこと
・それでもさらに可能であれば、経口のサプリメントによるがんに対する栄養アプローチを追加処方する

僕のところでがんに対する栄養アプローチを行っている患者さんの経過は、単純にビタミンCの点滴だけを行っている場合よりも明らかにQOLは高いと感じています。
それは、上記のアルブミン維持と貧血の改善を行っているからと思っていました。

今日は、その印象を理論的にバックアップしてもらったという感覚の勉強会でした。

| ひとりごと | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0) |


鉄は危険な栄養素ではない
JUGEMテーマ:健康


前回は、体内での鉄について、その存在形式によって全く種類の異なる分子になることをお伝えしました。
鉄の過剰は危険であるという表現を、鉄イオンの過剰は危険であると・・・常に置き換えて表現しなくてはならないこともお伝えしました。そうでなければ、鉄の補充自体が危険と認識されてしまうからです。

そして体内では、鉄は鉄イオンの形では存在しないように厳重に調節されています。万一の鉄の過剰時には、小腸の粘膜をねこそぎ剥いで貯蔵鉄を便中に排泄するほど厳重なのです。

鉄の過剰を血液検査で知ることは、実はとても困難です。
一般的には血清フェリチン値が体内の貯蔵鉄の量を反映するため、フェリチン値が上昇しているときには鉄の過剰を疑うとなっています。

鉄の危険性を訴える先生の論文にも、フェリチンは低い方が寿命が長い・・よって鉄は少ない方が良い・・という論調です。

本当にフェリチンの上昇は鉄の過剰をしめしているのでしょうか?
フェリチンは貯蔵鉄の量を反映しますが、それは炎症などの組織障害がないということが前提です。
血液検査データを栄養面から解釈すると、フェリチンが高い患者さまでも他のデータからの解釈で鉄の不足が存在することが予想できることがあります。そのような患者さまへヘム鉄を補充し、同時に炎症を抑えるような栄養アプローチをおこなうことによってフェリチンが低下することはよくあることなのです。
このようなフェリチンの変化は、初期のフェリチンの上昇は鉄の過剰を示すものではないことを証明します。

発がんのメカニズムが完全に判明していないことが現状ですが、多くの発がん性物質はその物質がもつ直接的な発がん作用ではなく、活性酸素を含んだフリーラジカルを介して発がん作用があることが指摘されています。
炎症や酸素不足の組織があると、そこからフリーラジカルや活性酸素が発生してきます。その状態は、まさに発がんのリスクをあげるものになります。

鉄の不足は酸素不足を引き起こしガン細胞へは好条件の素地を作ります。
鉄の不足は、増加した活性酸素を除去する酵素の活性を下げてしまいます。

鉄の不足によるこれらの環境はガン細胞にとってとても過ごしやすいものになってしまいます。
鉄イオンの過剰は、避けなくてはならない状態ですが、鉄の不足はガン細胞にとってすごしやすい環境を作ってしまいます。

鉄は充分にある状態にしながら鉄イオンの発生を抑制することががんの治療には重要なのです。
| がん一般 | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0) |


鉄と発がんの関係について
JUGEMテーマ:健康

鉄の摂取が発がんのリスクを高めると誤解されるような記事があることは前回のブログで紹介いたしました。

実際にその記事の基となる論文を見ると、当然ですが細かく書かれています。
例えば鉄が体内に存在するときには、鉄イオンとして存在したり、トランスフェリンと言うタンパク質と結合して存在したり、ヘモグロビンの構成成分として存在したり、多くの酵素に含まれるヘムという形で存在したり貯蔵鉄としてのフェリチンとして存在したり・・・同じ鉄でも全く異なる物質のように形を変えて存在しています。

さてここで表現のあいまいさが誤解を招く1つの原因になていることに気がつきます。
体内に存在する鉄のうち、鉄イオンが過剰な状態になることは、体内での活性酸素の発現を増し、さらにフェントン反応というフリーラジカル発生の悪循環のきっかけになるため、当然としてがんだけでなく多くの疾患の原因となることを示します。

つまりここでは鉄の過剰ではなく、鉄イオンの過剰状態は危険であるというように明確に表現を区別しなくてはなりません。それは、その他の存在形式で存在している鉄は、なんの問題を生じることが無いからです。

そして次の問題です。
私達の身体は、鉄が非常に重要でありそして上述のように危険をともなう分子であるため、厳重な調節機構(ホメオスターシス)を持っています。つまり通常であれば鉄を食材やサプリメントで摂取しても、体内の危険な鉄イオンが増えないように、何重にもセーフティー機構が準備されています。

先ずそのセーフティー機構のトップバッターであり有力選手は、私達の小腸の粘膜上皮です。消化吸収の最初の段階で鉄が過剰にならないように準備されています。
この大切なセーフティー機構を通らずに鉄が体内にはいることがあります。
それは、鉄剤の点滴や注射などによる投与です。

鉄剤の点滴や注射は、鉄のお薬を飲んでもらうと多くの女性が気持ち悪さを訴えます。
そのために鉄を飲んでもらう代わりに点滴をすることになるのですが、それは鉄イオンを体内で急激に増す可能性がある危険な治療法となるわけです。

この先も鉄とがんの関係についてお伝えする予定です。
| がんの予防 | 23:16 | comments(0) | trackbacks(0) |


鉄と発がんの関係について
JUGEMテーマ:健康

鉄の摂取が発がんのリスクを高めると誤解されるような記事があることは前回のブログで紹介いたしました。

実際にその記事の基となる論文を見ると、当然ですが細かく書かれています。
例えば鉄が体内に存在するときには、鉄イオンとして存在したり、トランスフェリンと言うタンパク質と結合して存在したり、ヘモグロビンの構成成分として存在したり、多くの酵素に含まれるヘムという形で存在したり貯蔵鉄としてのフェリチンとして存在したり・・・同じ鉄でも全く異なる物質のように形を変えて存在しています。

さてここで表現のあいまいさが誤解を招く1つの原因になていることに気がつきます。
体内に存在する鉄のうち、鉄イオンが過剰な状態になることは、体内での活性酸素の発現を増し、さらにフェントン反応というフリーラジカル発生の悪循環のきっかけになるため、当然としてがんだけでなく多くの疾患の原因となることを示します。

つまりここでは鉄の過剰ではなく、鉄イオンの過剰状態は危険であるというように明確に表現を区別しなくてはなりません。それは、その他の存在形式で存在している鉄は、なんの問題を生じることが無いからです。

そして次の問題です。
私達の身体は、鉄が非常に重要でありそして上述のように危険をともなう分子であるため、厳重な調節機構(ホメオスターシス)を持っています。つまり通常であれば鉄を食材やサプリメントで摂取しても、体内の危険な鉄イオンが増えないように、何重にもセーフティー機構が準備されています。

先ずそのセーフティー機構のトップバッターであり有力選手は、私達の小腸の粘膜上皮です。消化吸収の最初の段階で鉄が過剰にならないように準備されています。
この大切なセーフティー機構を通らずに鉄が体内にはいることがあります。
それは、鉄剤の点滴や注射などによる投与です。

鉄剤の点滴や注射は、鉄のお薬を飲んでもらうと多くの女性が気持ち悪さを訴えます。
そのために鉄を飲んでもらう代わりに点滴をすることになるのですが、それは鉄イオンを体内で急激に増す可能性がある危険な治療法となるわけです。

この先も鉄とがんの関係についてお伝えする予定です。
| がんの予防 | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0) |


鉄とがんの関係について
JUGEMテーマ:健康

これまでも何回か鉄の過剰と発がんについて医師向けの雑誌や一般の方が目にする媒体にも報告がありました。
最近では、C型肝炎からの発がん予防に鉄の過剰を治療する目的で、血液を体内へ出す治療(除鉄療法)が一部で行われています。

新宿のクリニックでもがんへの栄養アプローチをしているため、鉄が不足している患者さんへは、積極的にヘム鉄の補充を行い鉄欠乏の補正をしています。
鉄の過剰が発がんの可能性をあげるという情報から、治療中の患者さんでも鉄を服用することを躊躇したり、心配になって相談されることもあります。

この問題に限らず、がんの危険性があるから避けるべき・・・という情報は、とても影響力が強いものです。その反対意見を示しても、
『もし本当に危険ならとりあえず避けておくことが無難』
ということに、医師の間でも同様な反応になることが多いものです。

発がんの危険性を増すものが、”魚のコゲ”であれば、わざわざ摂取しなくても問題がありませんので、とりあえず避けておくということでよいでしょう。
ところが、前回お伝えしたビタミンEや今回のテーマである鉄などについては、過剰な状態であればわざわざ補充することは不要でしょうが、欠乏状態であれば積極的に補充することが全身状態の改善になり、免疫を向上させることになります。
その結果としては、がんの一般療法の効果を高め、予後の改善にもつながることが予想できるのです。

次回からは、鉄ががんを増やすという論点についての矛盾と、鉄が不足しているときの鉄補充のがんの病態でのメリットなどについてをお伝えします。
| がん一般 | 22:18 | comments(1) | trackbacks(0) |


ビタミンEと肺がんの報道に・・・
JUGEMテーマ:健康

ビタミンなどと疾患の関係については、”歴史は繰り返す”と言えるほどバッシングが繰り返されます。
ビタミンCとがんの関係について見ても明らかです。
つい数年前までは、完全に否定されていたことですが、いまやアメリカでは年間に数万人の患者さんがこの治療を受けるまでになっています。

さて今回は、
『ビタミンEは喫煙者の肺がんの発生率を上げる』
という論文がだされ、それを見つけたマスコミの報道がありました。

論文では、統計では喫煙者の肺がん発生率がビタミンEを摂取していた人たちの方が、喫煙者でビタミンEを摂取していない人たちと比較して若干高かったという結論をだしています。そして喫煙者へがんの予防のためにビタミンEの摂取は進めるべきでないとなっています。

しかしそのような論文がマスコミを通じて一般へ報道されるときには、あたかもビタミンEは発ガンの可能性を上げる!のごとく受け取られるような内容に換わってしまいます。

本来、喫煙者の肺がんの発生を予防するのであれば、禁煙をすることが最も有効な手段であることはこれまでの膨大なデータが支持しています。
そしてビタミンEの摂取が循環器系の疾患の予防や治療に有効であることなどもこれまでの多くの研究で示されています。

さてここでいつも目の前の患者さんの症状と検査データを前にして思います。

・様々な症状を訴えてこられている患者さん
・血液検査をすると血液内の酸化が亢進して細胞膜の障害が発生している。
・困っている症状の原因が、ビタミンE欠乏の膜障害であることが充分に予想されている。

こんなときに、喫煙者の肺がんのリスクを高める可能性があるという論文があるからと言って、ビタミンEの投与を躊躇する根拠になるでしょうか?
答えは ノーNO! です。

そしてもうちょっと・・・
発ガンやがんの進展の予防を考えるときに、ビタミンEなどの抗酸化物質をある一定量摂取することはがんのメカニズムを考えても極めて有効だろうと思うのです。
ですので、検査データをみて必要と思う方には、今後もβカロチンやビタミンEを用いていきます。

人の臨床的なデータをとるときには、多因子が関係します。それでも当然統計処理をして有益な事実を発見し発表することはとても重要なことです。
ネガティブな発表をみると、母集団の選び方、用いているサプリメントが合成であったり・・・様々な問題が含まれていることがほとんどです。

情報を正しく判断することがマスコミ報道を見るときにはとても重要なのです。
振り回されないようにしましょう。

近いうちには、鉄と発ガンの関係についてもお話しようと思います。

| ひとりごと | 09:54 | comments(0) | trackbacks(2) |


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