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溝口 徹(みぞぐち・とおる)
がん治療において、その過程で失われる体力をどのように回復させるか、またどのように低下を防ぐのか。これらは大きな問題点であるにも関わらず、現在の治療ではなかなか考えられていないことです。
意外に、体力的なことをしっかりと補うことにより、免疫が下がらずにいられ、風邪をひきにくく元気でいる時間が長い、ということがあります。
体力を落とさないということを治療目標に取り入れるだけでも、得られることがあるのです。
うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。
投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。
高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。
非常に敏感な腫瘍マーカーにて、異常高値を示した患者さんはその1ヶ月後の検査では、急激に改善していました。
その時期に一致して行ったPETやCTなどの画像診断では、右上肺野の転移巣に軽度の増大傾向を認めていました。
このところ、ずっと何年も落ち着いていたのですが、やはりどうやら活動性を一時的に増していたようです。
画像診断では、原発巣には著変なく肺がんの専門医としても、今回の転移巣の軽度の増大傾向だけで新しく抗ガン剤を増やしたりすることはせず、2ヶ月後の受診を指示しました。専門の医師からみても、積極的に治療方針を変更するような変化でないことは確かでした。
今回ご紹介した患者さんは、とても経過が良好であるので、ビタミンCの点滴の回数を減らしたりすると、微妙に敏感な腫瘍マーカーが上昇することを繰り返していたため、週2回の75gのビタミンCの点滴をすでに約3年間継続されています。
今回の腫瘍マーカーの急激な上昇とその時期の画像診断の結果をみてみると、がん細胞の性格のようなことが想像できるのではないでしょうか?
がん細胞の活動性は、身体のがんへの抵抗力や免疫の力とのバランスで成り立っているということです。
そして活動性が亢進しても、がんへの抵抗力を落とさないように注意しておくことで、全体の悪化を防ぐことができるのではないか・・・・そんなことを感じる経過でした。
いずれにしても、発見された時には両側肺野へがんの転移があり手術ができないと判断されたがんの患者さんです。
週2回の点滴と、毎日のサプリメントの服用をしている以外は、ネクタイを締めバリバリ働き、ジムに通い水泳で汗を流す毎日を過ごされています。
そんな可能性が、がんへのオーソモレキュラー療法にはあるのです。