先日の日曜日、秋葉原でがんの学会が開かれました。
そのトップバッターとしてがんを慢性消耗性疾患としてとらえることと、がん特有の代謝とその治療について話をしました。
なにしろ講演の持ち時間が30分
そして伝えたいことは、山ほど・・・そのため準備したスライドは60枚・・・かなり絞ったのですが。。。
1まい1まいのスライドで話したいことが山ほどあるため、30分間はあっという間に終わってしまいました。
途中、早口になっている自分に気がついたのですがもう軌道修正は困難です。
きっと参加し聞いてくれていたドクターの印象も・・・・早口講演だった・・と思われたのではないでしょうか?
外国からの招待演者の先生方におかれては、まさに???の講演だったと思います。
さてがんはこのブログで紹介している通り、自分の成長にとって都合のよい環境に私たちの身体を変えていってしまいます。
ある意味、抗がん剤や放射線療法も免疫を抑制する治療ですので、ある意味がんの発育にとって都合がよい状態を作るということができるかもしれません。それは抗がん剤を用いた治療のときには実感することが多くあります。
新しく抗がん剤を使うようになると、一時的にがんの大きさが小さくなったり転移がきえたりします。
ところがその抗がん剤の治療を終えると、それ以前よりも早い時期にがんの転移が見つかったり大きさが増大したりするようになります。
これらは、抗がん剤によってがん細胞もダメージを受けますが、結果として免疫が落ちた身体が治療後のがんへの抵抗性を弱めてしまっていると考えられます。
さてこのような信州的な治療をしていないときでも、がんは身体を自分が育ちやすい状態へ変化させます。
その代表が貧血です。
がん細胞は、通常の細胞とことなり酸素を必要としない嫌気性代謝という経路で自らの活動のエネルギーを産生します。つまりがんは、酸素が十分にある環境では活動しにくいのです。
様々な手段を用いて、貧血を引き起こし自分にあまり酸素が来ないように変化させます。
別の経路では、がんを殺そうとして私たちの免疫細胞から様々なサイトカインが産生されます。
ところがこれらのサイトカイン自体が、筋肉や脂肪を消費し身体を弱めるような作用があるのです。つまりがんを殺そうとして出された物質で、自分の身体が弱められるのです。
こんな話をしたのですが、講演後に質問を受けました。
がんが生じると私たちの身体が、自らを弱めるような反応が次々と起こってしまうのはどうしてか?
そんな内容です。
つまり私たちの身体は、本来は異物を排除し自らを常に良くしようとしているのが原則だからです。
この素朴な疑問にはいくつかの仮説が自分にはあるので、その点について私見としてお答えしたのです。